AppLovin(NYSE:APP)は10月28日の終値ベース166.18ドルで年初来から127.41ドル高、328.53%の上昇を見せている。今回は2024年2Q決算からApplovinの成長要因を探る。
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モバイル広告およびアプリ運営を手掛けるアップラビン(AppLovin Corporation)は、2024年6月30日に終了した第2四半期の決算を発表した。同社の収益は前年同期比44%増の10億801万1千ドルとなり、750万1千6百5十ドルから大幅に伸びた。純利益は3億9996万9千ドルから8,035万7千ドルに増加し、純利益 attributable to common stockは3億898万9千ドルとなった。
売上高の内訳と成長要因
アップラビンの売上高は「ソフトウェアプラットフォーム」と「アプリ」の二つの主要セグメントに分かれている。ソフトウェアプラットフォームからの売上が全体の66%を占め、主に広告主からの手数料収入が中心となっている。一方、アプリセグメントからの売上は34%で、ユーザーによるアプリ内購入(IAP)とアプリ内広告(IAA)からの収益が含まれる。
ソフトウェアプラットフォームの売上は、AppDiscoveryやMAXなどの技術を活用し、広告主とデジタル広告在庫の所有者を効率的にマッチングさせることで増加。特に、大手インターネットプラットフォームとの取引拡大が寄与している。また、AdjustやWurlといったサービスの成長も売上増加に貢献した。
アプリセグメントでは、無料で提供されるモバイルゲームからのIAP収益が全体の68%を占め、ユーザーの月間アクティブペイヤー(MAPs)は160万人に達した。平均月間アクティブペイヤーあたりの収益(ARPMAP)は52ドルとなり、ユーザーあたりの収益効率が向上している。
費用と利益
総費用は前年同期比で10億4,613万3千ドルから6億8,983万7千ドルに増加したが、収益の増加により営業利益は前年の1億3,132万8千ドルから3億9,098万6千ドルに急増した。純利益も同様に大幅に増加し、前年同期の7,534万0千ドルから3億0万9,969ドルに達した。
キャッシュフローと財務状況
営業活動によるキャッシュフローは8億473万6千ドルと前年の5億1,8456万ドルを上回り、強固なキャッシュポジションを維持。一方、投資活動によるキャッシュアウトフローは9億9,991ドルとなったが、主に非上場株式の購入や無形資産の取得が影響している。財務活動によるキャッシュアウトフローは7億8,5612万ドルで、主に自社株買いと債務返済が中心となっている。
ビジネスモデルとKPIの考察
アップラビンのビジネスモデルは、ソフトウェアプラットフォームとアプリからの収益を中心に構成されている。2024年6月30日に終了した四半期では、総収益の66%がソフトウェアプラットフォームから、34%がアプリからの収益となった。同社はソフトウェアプラットフォームの収益を広告主からの手数料として得ており、特にAppDiscoveryが主要な収益源となっている。アプリからの収益は、アプリ内課金(IAP)が68%、アプリ内広告(IAA)が32%を占めている。
主要指標として、月間アクティブペイヤー(MAP)は160万人に達し、前年同期の170万人からやや減少したものの、月間アクティブペイヤーあたりの平均収益(ARPMAP)は52ドルに増加し、前年同期の46ドルから向上した。この結果、各ペイヤーからの収益効率が改善されていることが示された。
アップラビンは、ソフトウェアプラットフォームの機能強化とクライアント基盤の拡大に積極的に投資を続けている。特にAI搭載の広告エンジンAXONやAppDiscovery、Adjust、MAX、Wurlなどのツール開発に注力し、広告主に対する価値提案を強化している。また、200以上の無料プレイモバイルゲームを運営することで、グローバル市場でのプレゼンスを確立している。
自社株買いプログラム
アップラビンは、自社株買いプログラムを継続的に実施しており、2024年6月30日時点で5億ドルの買い戻し枠が残っている。過去半年間で約7億5,222万ドル相当のクラスA普通株を買い戻しており、市場環境に応じた柔軟な株式買い戻しを行っている。
収益源の多様化と拡大戦略
AppLovinの収益は、一部の人気ゲームやアプリからの収益に依存していると同社は認識おり、今後も新しいアプリやゲームの開発・買収を進める意向を示しているが、新作が必ずしも商業的成功を収める保証はない。ユーザーの獲得や維持のコスト増加、広告技術の進化、プラットフォームの変化などに対応するための投資が引き続き求められる。
今後の見通し
アップラビンは、ソフトウェアプラットフォームの技術革新とアプリポートフォリオの拡充を通じて、さらなる成長を目指している。特に、広告主とのパートナーシップ強化や新規アプリの開発・獲得に注力し、グローバル市場でのプレゼンスを拡大する方針だ。また、株主還元策としての自社株買いも継続的に実施する予定である。