レーザーテック株式会社(6920)は、2025年6月期第1四半期(2024年7月1日~9月30日)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比で22.3%減の367億37百万円となったが、営業利益は54.9%増の159億22百万円、経常利益は16.5%増の127億28百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は16.0%増の89億30百万円を計上した。
売上高の減少は主に半導体関連装置の売上が前年同期比で38.5%減の256億81百万円に留まった一方、その他の売上が606.6%増の10億95百万円、サービス部門も85.6%増の99億60百万円と大幅に伸びたことによる。特にサービス部門は四半期における過去最高を記録した。
総資産は前年度末比で100億24百万円減の2612億63百万円となり、純資産も1514億52百万円に減少したが、自己資本比率は55.1%と堅調な水準を維持した。現金及び現金同等物は74億96百万円減少し、306億55百万円となった。キャッシュ・フローでは営業活動によるキャッシュフローが12億円の支出となり、投資活動では3億6百万円の支出、財務活動では41億65百万円の支出となった。
事業環境については、世界経済の地政学リスクや金融引き締めによる景気減速の懸念が続く中、半導体業界でも先端半導体の製造能力増強に関する投資計画の見直しが進行した。生成AI向けのHBM関連投資は堅調に推移したものの、EV市場の減速に伴いパワー半導体関連への投資は一服感が見られた。
決算補足説明資料の作成や機関投資家・アナリスト向けの決算説明会も開催され、詳細な業績説明が行われた。また、2025年6月期の通期業績予想については、売上高2400億円(前年同期比12.4%増)、営業利益1040億円(27.8%増)、当期純利益740億円(25.3%増)と引き続き堅調な成長を見込んでいる。
さらに、同社は2025年6月期から四半期ごとの受注高・受注残高の開示を廃止し、中長期の成長トレンドに焦点を当てる方針を示した。これは短期的な変動が企業評価における有用性を低下させるとの判断や、株主からの短期的な株価変動抑制のリクエストに応えるためである。
研究開発費や設備投資額についても計画通り進捗しており、特に新光学系を搭載した次世代SICA108の開発が進んでいる。ローズ社からは優秀サプライヤー賞を初受賞するなど、技術力の高さも評価されている。
総じて、レーザーテックは売上高の減少にもかかわらず、営業利益や純利益の増加を実現し、堅実な財務体質を維持しつつ、将来の成長に向けた戦略を着実に進めている姿勢が見て取れる。