ユビキティ(UBIQUITI INC.)は2024年9月30日に終了した第3四半期の決算報告書を発表した。総収益は前年同期の4億6307万8千ドルから4億5034万4千ドルへと19%増加し、5億5034万4千ドルに達した。この増加は主にエンタープライズテクノロジープラットフォームからの売上増加によるもので、一方でサービスプロバイダーテクノロジーからの売上は3%減少した。
Source:Unsplash
地域別の売上では、北米が前年同期の2億2478万5千ドルから2億7124万7千ドルへ21%増加し、EMEA地域も前年の1億7239万4千ドルから2億0488万8千ドルへ19%増加した。アジア太平洋地域と南米地域もそれぞれ13%および12%の増加を記録した。総収益に占める北米の割合は49%で維持され、各地域での売上増加が全体の成長を支えた。
コスト面では、総売上高に対する売上原価の割合が前年同期の60%から58%に減少し、粗利益率は40%から42%に改善された。これは製品ミックスの好転や関税の低減が寄与した一方で、送料や倉庫関連費用の増加が一部を相殺したためである。
営業費用では、研究開発費が前年同期の3,628万3千ドルから3,799万7千ドルへと5%増加した。一方、販売費および一般管理費は前年の1,929万ドルから2,441万5千ドルへ27%増加し、クレジットカード処理手数料やプロフェッショナルフィー、マーケティング費用の増加が影響した。しかし、営業費用の売上高に対する割合は前年の8%から7%に低下した。
利息費用は前年の2,122万4千ドルから1,057万8千ドルへ50%減少した。これは借入金の減少と低金利、為替差益によるものだ。税引前利益は前年の1億7万078ドルから1億5万8628ドルへ29%増加し、純利益は8,775万ドルから1億2,7988ドルへ23%増加した。
キャッシュフローでは、営業活動によるキャッシュフローが前年同期の6,768万2千ドルから2億3,366万7千ドルへ大幅に増加した。一方、投資活動では設備投資に2,604千ドルを使用し、財務活動では信用枠からの返済と配当金支払いに1億9,223万ドルを使用した結果、現金及び現金同等物は前年同期の1億1263万4千ドルから1億6517万5千ドルへ増加した。
負債面では、短期借入金が前年の3億6508万ドルから2億4410万ドルに減少し、長期借入金も6億6987万8千ドルから5億2720万5千ドルへと減少した。総負債は10億6979万ドルから11億5791万8千ドルへ増加したものの、株主資本は9億5060万ドルから1億8813万9千ドルへ大幅に増加した。
また、ユビキティ・インクは2024年11月8日に1株当たり0.60ドルの四半期配当を承認し、11月25日に支払う予定と発表した。
Source:finviz
同社はリスクについて警告しており、製品の販売を主に限定的な数のディストリビューターに依存しており、それが将来の業績予測を難しくしているという。ディストリビューターが在庫を適切に管理し、顧客の需要を正確に見積もることができなければ、売上や利益率に影響を及ぼす可能性がある。
在庫管理に関しては、需要予測が不正確であると過剰在庫や部品の廃棄が発生し、財務的な損失を被る可能性がある。新製品の投入時には特にリスクが高まり、市場の反応を正確に予測することが困難である。
さらに、同社は限られた数の契約製造業者やサプライヤーに依存しており、部品供給の遅延や品質問題が生じた場合、生産に深刻な影響を及ぼす可能性がある。地政学的な緊張や自然災害、パンデミックなどもサプライチェーンを混乱させる要因となり得る。
サイバー攻撃やデータセキュリティの脅威も増大しており、情報漏洩やシステム障害が発生した場合、顧客からの信頼を失い、法的責任を問われるリスクがある。特に、オンライン販売の拡大に伴い、顧客データの保護が一層重要となっている。
同社はまた、人工知能(AI)技術の活用に伴うリスクも認識している。AIの導入が期待通りの成果を上げない場合や、規制上の問題が発生した場合、ビジネスや評判に悪影響を及ぼす可能性がある。
最後に、主要な経営陣や専門人材の流出リスクも挙げられている。特に、創業者でありCEOである人物に大きく依存しており、その離脱は事業に深刻な影響を及ぼすとされる。
総じて、ユビキティ・インクは第3四半期において売上高と純利益の両方で堅調な成長を遂げ、粗利益率の改善や利息費用の削減に成功した。しかし、供給制約や地政学的リスク、税務上の不確実性などの課題にも直面しており、これらの要因が将来の業績に与える影響が注目される。