三菱重工業株式会社(7011)は2024年度第1四半期の決算を発表した。受注高は前年同期比で2,406億円増の18,475億円となり、全体で15.0%の増加を記録した。売上収益も同様に前年同期比で1,275億円増の11,115億円に達し、13.0%の成長を示した。
出典: UnsplashのMihály Kölesが撮影した写真
事業利益は前年同期比で315億円増の835億円となり、驚異的な60.7%の増加を達成した。この増益は、エナジー、プラント・インフラ、航空・防衛・宇宙の各セグメントでの売上増加と利益率の改善が主な要因となった。特にエナジーセグメントでは大型ガスタービン(GTCC)の受注が大幅に伸び、航空エンジン部門でもスペアパーツやMRO(保守・修理・オーバーホール)での増収増益が寄与した。
純利益も前年同期比で90億円増の622億円となり、17.1%の成長を記録した。基本的1株当たりの四半期利益は15.83円から18.53円に増加し、希薄化後の利益もほぼ同水準で推移した。これにより、株主への利益還元が強化されたことが伺える。
キャッシュ・フロー面では営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期比で923億円改善の△678億円となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローは前年同期と比べて大幅に減少し△584億円となった。財務活動によるキャッシュ・フローは76,844億円のプラスとなり、現金及び現金同等物の期末残高は579,383億円に達した。
資産面では総資産が前年同期比で4,017億円増の6,658,058億円となり、資本合計も2,458,936億円に増加した。自己資本比率は35.1%に上昇し、財務体質の強化が図られた。純有利子負債も1,213億円減少し、財務の健全性が向上した。
セグメント別では、エナジーセグメントが特に好調で、GTCCの受注増加により大きく貢献した。プラント・インフラセグメントも製鉄機械や機械システムでの増収が見られ、航空・防衛・宇宙セグメントでは防衛関連の工事進捗と民間機部門での採算改善が利益増に繋がった。一方、物流・冷熱・ドライブシステムセグメントでは販売台数の減少により若干の減益となったが、全体としては堅調な推移を示した。
今後の見通しについては、受注高が前年同期比で13.2%減の58,000億円、売上収益が5.2%増の49,000億円、事業利益が23.9%増の3,500億円を見込んでいる。ROEは10.0%を予想し、配当金も20円から22円への増配を予定している。
また、2024年4月1日に株式を10分割する株式分割を実施し、投資家への株式流動性を高めるとともに、配当金の額も調整された。これにより、一株当たりの配当が中間8円、期末12円から中間11円、期末11円に変更された。
総じて、三菱重工業は第1四半期において堅調な成長を遂げ、各セグメントでの業績向上と財務体質の強化を実現した。今後も引き続き、多様な事業分野での成長戦略を推進していく方針だ。今後の戦略については 参考記事:三菱重工業の今後の戦略や勝ち筋を探るでまとめているので、ぜひご覧いただきたい。