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テンパスAI(Tempus AI)は2024年第3四半期(9月30日終了)において、売上高が1億8092万9000ドルと前年同期比で33%増加したことを発表した。特にゲノミクス部門は11億6422万ドル、データ・サービス部門は6億4507万ドルと大幅な伸びを示した。9か月間の総収益は4億9,272万ドルに達し、前年同期の3億8,410万ドルを上回った。
一方で、純損失は7584万ドルに拡大し、前年同期の5342万ドルから増加した。調整後EBITDAは-2180万ドルとなり、前年同期の-3620万ドルから改善したものの、依然として赤字が続いている。
財務面では、現金及び現金同等物が3億8890万ドルあり、運転資金は12ヶ月以上確保されている。しかし、継続的な研究開発投資や新規事業拡大に伴う費用増加により、引き続き赤字が続く見込みだ。現金および現金等価物は3億8,800万ドルに増加。前年末の1億6,660万ドルからの増加は、IPOおよびシリーズG-5優先株式の発行による資金調達によるもの。長期債務は2億6,453万ドルで、前年末の2億5,654万ドルからわずかに増加した。
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テンパス、ソフトバンクグループとの合弁事業
2024年7月、テンパスAI社はソフトバンク・グループと共同でSBテンパス株式会社を設立。両社はそれぞれ約9,520万ドルを出資し、日本市場での事業拡大を目指す。SBテンパスは、日本における臨床シーケンシングやリアルワールドデータ事業を展開する予定。さらに、アストラゼネカ、グラクソ・スミスクライン(GSK)、リカーシャン製薬(Recursion Pharmaceuticals)との戦略的協業を拡大中。アストラゼネカとはマスターサービス契約を締結し、GSKとは戦略的協力契約を結んだ。また、リカーシャン製薬とはデータライセンス契約を締結し、双方の技術力を活用した共同開発を進めている。
市場リスクとしては、金利変動や為替レートの変動の影響があり、特に国際展開が進むにつれてこれらのリスクが増大する可能性がある。また、医療保険の支払い率の変動や規制の変化も業績に影響を与える要因とされている。
アンブリー・ジェネティクス社の買収
2024年11月4日、テンパスAI社はアンブリー・ジェネティクス社の全株式取得を目的とした証券売買契約を締結。買収総額は現金3億7,500万ドルと484万3,136株のクラスA普通株式で構成される。この買収により、遺伝子検査のリーダー企業であるアンブリー・ジェネティクス社を傘下に収め、ゲノミクス分野での能力強化を図る。買収完了は2025年第1四半期を予定しており、必要な規制当局の承認を待っている。買収資金の調達に向けて、テンパスAI社はアレス・キャピタル・コーポレーションと1億ドルのリボルビング・クレジット・ファシリティおよび2億ドルの追加タームローンを提供するコミットメント・レターを締結。これにより、買収に必要な現金部分の資金を確保する。
テンパスAI社のCEO、エリック・レフコフスキー氏は「AIと機械学習を活用して医療の質を向上させることが使命である。アンブリー・ジェネティクス社の買収により、遺伝子検査能力が飛躍的に向上し、患者ケアに大きな影響を与えることができる」と述べた。
Tempusは、AIを活用したインテリジェントな診断プラットフォームの構築に注力しており、データと診断を統合している。現在、2,500を超える医療機関と連携し、2億ペタバイト以上の多モーダル医療データを保有している。このプラットフォームは、Genomics、Data & Services、Applicationsの3つの主要製品ラインで構成されており、各事業が相互に強化し合うネットワーク効果を生み出している。
同社は引き続きデータ駆動型医療ソリューションの提供に注力し、収益の増加と損失の削減を目指す。新たな戦略的パートナーシップや買収を通じて市場での地位を強化し、株主価値の向上に努める方針である。